多くの求職者は面接で質問されたときに、準備不足で大切なアピールの機会を逃してしまいがちです。逆質問は自身の意欲や適性を示す絶好のチャンスです。私はプライム上場メーカー企業で7年以上採用業務に関わり、これまで1,000人以上の方を面接してきました。この記事では、面接で逆質問が重要な理由や具体的な質問例、避けるべき質問内容を詳しく解説します。
記事を読むことで、逆質問で評価を上げるポイントがわかり、面接での逆質問が強力な武器になります。
面接で逆質問が求められる理由

面接で逆質問が求められる理由は、以下のとおりです。
- 志望度を測るため
- コミュニケーション能力を判断するため
- 自社との相性を確認するため
- 入社後のイメージを具体化させるため
志望度を測るため
面接官は、求職者の企業に対する理解度や事前調査の深さを測るために逆質問をします。求職者が企業の具体的なプロジェクトや社風について深く質問すると、企業への志望度が高いと評価されます。表面的な質問しかできない場合、志望度が低いと判断される可能性があるため注意が必要です。
逆質問は、求職者の働きたい意欲を見極めるための手段でもあります。業務内容やキャリアパスに関する具体的な質問は、求職者が企業でどのように成長し、貢献したいかを示します。企業は求職者の熱意を理解することで、採用後のミスマッチを防ぐことが可能です。
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コミュニケーション能力を判断するため

コミュニケーション能力を判断するために、逆質問は重要になります。仕事において他のメンバーとの円滑な連携が求められるためです。逆質問でコミュニケーション能力を判断するポイントは、以下のとおりです。
- 相手の話をしっかり聞けるか
- 質問の意図を理解し、適切に答えられるか
- 論理的に話を展開できるか
- 適切なタイミングで質問を挟むか
- 非言語コミュニケーション(表情、アイコンタクト)を適切に使えるか
- 相手の意図を汲み取る力があるか
- 会話の中での適応力や柔軟性があるか
- 自分の意見や考えを明確に伝えられるか
面接では、以上のポイントを総合的に判断することで、応募者のコミュニケーション能力を評価します。
自社との相性を確認するため
企業は逆質問を通して、自社との相性を確認します。企業と求職者のミスマッチを防ぐためです。逆質問により、求職者の価値観や働き方が企業の文化や方針と合っているかを判断します。面接では企業のミッションやビジョンに共感することが大切です。企業と相性が良いと、仕事に対するモチベーションが高まります。
企業が求めるスキルや経験が一致しているかも重要です。チームの一員としての適応力も求められます。企業が提供するキャリアパスが、自身の目標に合っているか把握することも欠かせません。企業のキャリアパスが目標に合っていると、長期的なキャリア形成が可能です。
企業の働き方や制度が自身の希望と合致しているかもポイントです。逆質問を行うことで面接官に自身の適性をアピールできるうえ、自身が企業で働く姿を具体的にイメージできます。
入社後のイメージを具体化させるため

入社後のイメージを具体化させるためには、いくつかの重要なポイントを把握することが大切です。求職者が具体的な質問をすると、企業で働くイメージが鮮明になります。企業も詳細な情報を提供しやすいメリットがあります。入社後のイメージを具体化させるためのポイントは、以下のとおりです。
- 実際の業務内容や役割について具体的に理解する
- チームや部署の構成メンバーや雰囲気を知る
- 日々のスケジュールやルーチンワークの流れを把握する
- 使用するツールやシステムについての情報を得る
- 成功事例や評価基準について具体的な理解を深める
- キャリアパスや成長機会についての具体的なビジョンを持つ
- 入社後の教育やトレーニングプログラムについて知る
- コミュニケーションのスタイルや頻度について理解する
- 自社特有の文化や価値観について知る
- 業務上のチャレンジや課題についての情報を得る
予想される困難を事前に知れるため、対策を立てやすくなります。
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面接で逆質問するための準備

面接で逆質問するための準備は、以下のとおりです。
- 企業・業界についてリサーチする
- 気になるポイントをリストアップする
- アピールしたい内容を明確にする
- 質問に優先順位をつける
企業・業界についてリサーチする
逆質問するための重要な準備の一つは、企業や業界についてのリサーチです。リサーチにより、企業がどのような業界でどのような位置にあるのか、業界全体の動向を理解できます。リサーチを通じて得た情報をもとに質問すると、志望度の高さや準備の丁寧さをアピール可能です。
企業・業界についてリサーチするポイントを以下にまとめました。
リサーチ項目 | リサーチ方法 | 利用する情報源 |
ビジョンとミッション | 企業の公式サイトや企業案内資料を確認し、企業の目的や目指す方向性を調査 | 企業公式サイト IR資料 |
最近のニュースやプレスリリース | 企業が発表した最新のニュースやプロジェクト、提携関係を確認 | ニュースサイト 企業のプレスリリース IR情報 |
主要なサービスや製品 | 企業が提供する製品やサービス、顧客層、競争優位性を理解 | 公式サイト 製品パンフレット ユーザーレビュー 業界レポート |
業界の市場動向やトレンド | 業界全体の成長性や最新のトレンド、技術革新、消費者ニーズの変化を把握 | 業界レポート 専門誌 ニュースサイト |
競合他社との比較 | 競合他社と比較して、企業の強みや弱みを分析 | 競合他社の公式サイト 業界レポート 競合分析ツール |
財務状況や業績 | 企業の財務諸表を分析し、収益性や成長性を確認 | 有価証券報告書 IR資料 株式アナリストレポート |
企業文化や働き方 | 企業の職場環境、働き方、福利厚生、従業員の声などを調べ、企業文化の理解を深める | 企業の採用ページ 従業員のインタビュー記事 |
リーダーシップや経営陣の背景 | 経営陣の経歴や実績、リーダーシップのスタイルを確認 | 企業の公式サイト 経営陣のインタビュー記事 LinkedInプロフィール |
業界の規制や法改正の動向 | 業界に関連する法律や規制の改正、政府の政策の変動が企業に与える影響を調査 | 政府の公式サイト 業界団体のレポート ニュースサイト |
リサーチを通じて得た情報をもとに、質の高い逆質問を行えます。自身の熱意と企業理解の深さをアピールするために、しっかりと準備しましょう。
気になるポイントをリストアップする

逆質問を準備する際は、気になるポイントをリストアップします。自身が働きたい部署の雰囲気や、企業の将来のビジョンなどです。気になるポイントをリストアップすると、面接官に対して的確な質問が可能です。企業のビジョンや戦略について確認します。
企業の方向性を理解すると、自身のキャリアパスや成長機会を考えるために役立ちます。企業の将来の展望について質問すると、自身の役割を具体的にイメージすることが可能です。競合企業の状況や業界のトレンドも重要です。競合企業の状況や業界のトレンドを知ることで、企業が直面している課題や強みを理解できます。
業界のトレンドに関して質問すると、企業への貢献度をアピールできます。企業の文化や価値観、チームの構成や役割分担などもリストアップしておくのがおすすめです。企業の文化や価値観、チームの構成や役割分担は、企業への適性や働きやすさに直結します。
企業の文化や価値観について質問すると、自身と企業との相性を確認できます。
アピールしたい内容を明確にする
アピールしたい内容を明確にすると、面接で効果的な逆質問が可能です。アピールしたい内容を明確にすれば、面接官に対して自身の適性や価値を的確に伝えられます。自身の強みや経験を具体的に説明でき、企業にインパクトを与えることが可能です。
自身が応募する職種に関連する、スキルや経験を具体的に挙げることが大切です。キャリアでの成功事例を紹介すると、自身の能力を証明できます。志望動機を明確に伝えれば、企業に対する熱意が伝わります。入社後に挑戦したいプロジェクトや目標を具体的に話すと、企業に対して前向きな姿勢をアピール可能です。
自身の強みが企業にどう貢献できるかを説明することも重要です。面接官に対して自身の価値を明確に伝えられ、採用の可能性が高まります。
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質問に優先順位をつける

質問に優先順位をつけることも大切です。限られた時間内で重要な質問から順に聞くと、面接官に対する印象も良くなります。考えられる質問をリストアップしましょう。質問の重要度にもとづいて順位を付けます。面接官の役職や専門分野を考慮して質問を選ぶと効果的です。
技術部門の面接官には技術に関する質問を、営業部門の面接官には営業に関する質問をすると、適切な情報を引き出せます。自身のアピールポイントに関する質問を優先することも大切です。自身の強みを自然にアピールできます。深掘りできる質問を用意しておくと、面接官との対話がスムーズです。
面接で逆質問するときの具体例

面接で逆質問するときの具体例を、4つのケースに分けて紹介します。
- 意欲や熱意をアピールする逆質問例
- 自身の強みをアピールする逆質問例
- 企業文化や働き方に関する逆質問例
- 面接官個人に関する逆質問例
意欲や熱意をアピールする逆質問例
面接で意欲や熱意をアピールするには逆質問が有効です。自身が応募する企業で成し遂げたいことやどのように成長したいかを具体的に示す質問をしましょう。面接官に対して自身が「ただの応募者」ではなく、「将来を見据えた人材」であることを強く印象付けられます。意欲や熱意をアピールする逆質問例は、以下のとおりです。
- 入社後すぐに貢献する意欲があることを伝える逆質問
- 御社での成功に向けて、入社後最初の1年間で特に注力すべき点や、成果を出すために意識するべきことがあれば教えてください。
- 自己成長への意欲を表現できる逆質問
- 私自身、業界の最新トレンドを学び続けることが重要だと考えています。御社での成長のために、どのようなスキルや知識を特に身に付けるべきでしょうか?
企業にとって、意欲的で自己成長を大切にする人材は大きな魅力です。単なる求職者ではなく、企業に対して前向きな貢献を約束する積極的な姿勢を見せましょう。
自身の強みをアピールする逆質問例

面接では自身のスキルや強みを積極的にアピールすることが求められます。逆質問を使えばさらに効果的に強みをアピール可能です。
- 自身がどのように企業に貢献できるかを直接的に伝えられる逆質問例
- 私はこれまで○○というスキルを生かして○○業務に従事してきました。御社ではこのスキルをどのように活用できるとお考えでしょうか?
- 自身のリーダーシップや経験が企業にとってどれほど価値があるのかをアピールで切る逆質問
- 私は、○○のプロジェクトでリーダーシップを発揮してきました。御社ではプロジェクトマネジメントのスキルがどのような形で生かされるとお考えですか?
企業が求めるスキルや能力と自身が一致していることを強調すると効果的です。質問を通じて、自分の強みを具体的にアピールし、企業側に自分の価値をしっかりと伝えられます。
企業文化や働き方に関する逆質問例
企業文化や働き方に関する逆質問は、企業との相性を確認するために重要です。自身が企業の環境に対して真剣に関心があることを伝えられます。企業文化や働き方に関する逆質問例は、以下のとおりです。
- 自身が企業文化に溶け込む意欲があることを示せる逆質問
- 御社はチームワークを重視していると伺いましたが、具体的にどのような場面でそのチームワークが発揮されていますか?
- 企業内のコミュニケーションスタイルを理解しようとする姿勢を見せられる逆質問
- 社内でのコミュニケーションや意見交換は、どのような方法で行われていますか?
企業文化や働き方に関する質問は、入社後のミスマッチを避けるためにも重要です。面接官に「企業にしっかりと馴染もうとしている」という印象を与え、好感度を高められます。面接官に対して自身が応募する企業に真剣に興味を持っていることを伝える絶好の機会です。
面接官個人に関する逆質問例

面接官個人に対する逆質問は会話に親しみやすさを加え、面接を自然なやり取りに変える効果があります。面接官個人に関する逆質問例は、以下のとおりです。
- ビジネス的な会話から一歩踏み込んだ交流を図れる逆質問
- 〇〇様がこれまで御社で携わったプロジェクトの中で、特に印象的だったものや、成長を実感できた経験は何ですか?
- 企業の魅力をより具体的に理解できる逆質問
- 〇〇様がこの企業で働いていて、特に魅力に感じている点は何ですか?
面接官個人に関する逆質問を通じて、面接官との良好なコミュニケーションを図ることが可能です。企業での実際の働き方や価値観についての深い理解を得られます。
逆質問で面接の評価を上げるポイント

逆質問で面接の評価を上げるポイントは、以下のとおりです。
- 言葉遣いやマナーに気を付ける
- 面接の流れに合わせた質問をする
- 質問の意図を明確に伝える
言葉遣いやマナーに気を付ける
面接で言葉遣いやマナーに気を付けると、面接官にポジティブな印象を与えられます。面接では礼儀正しい挨拶と敬語の使用が基本です。質問を始める前に「失礼ですが」と一言添えると、礼儀を示せます。質問が終わった後は「ありがとうございます」と感謝の意を忘れずに伝えることが大切です。
話す際は面接官の目を見て話し、聞く姿勢を崩さないように心がけることも重要です。言葉遣いやマナーに気を付けると、面接官に対する尊敬と真剣な態度が伝わり、面接官からの評価が高まります。
面接の流れに合わせた質問をする

面接の流れに合わせて質問をすると、面接官に良い印象を与え、自身が企業についてより深く理解するのに役立ちます。面接では、企業の文化やチームの雰囲気に関する質問から始めるのがおすすめです。面接官が経験やスキルに関する質問をしてきた際は、目標達成にどのように貢献できるかを問い返すことが重要です。
自身のスキルが企業のニーズにどう応えられるかをアピールできます。面接の終盤には、成長やキャリアの進展に関する質問をすると、自身の将来の姿を想像しやすくなります。企業の最近のプロジェクトや成果に関して質問をすると、企業に対する関心の深さを示すことが可能です。
自身のスキルや経験の生かし方を具体的に話せます。面接を通じて自然に質問を織り交ぜると対話を促進でき、より意義のある面接を実現することが可能です。
質問の意図を明確に伝える
質問をする際は、質問の意図を明確に伝えることが重要です。質問の意図を明確に伝えると、面接官に自身の考えと問題解決への意欲を示せます。企業の文化に関する質問をすると、企業が自身に合っているかを評価するのに役立ちます。
質問を通じて自身の興味や目的を簡潔に説明すると、面接官に対して前向きで積極的な印象を与えることが可能です。
面接の逆質問で避けるべき内容

面接の逆質問で避けるべき内容は、以下のとおりです。
- 特にありませんと答える
- 給与や福利厚生に関して質問する
- 調べればわかることを聞く
特にありませんと答える
面接で質問をされた際に「特にありません」と答えるのは避けましょう。企業や職務に対する関心が低いと受け取られる可能性が高いです。他の候補者との差別化が難しくなり、チャンスを逃す可能性が高まります。事前に企業研究を行い、少なくとも1つは質問を準備しておくのがおすすめです。
給与や福利厚生に関して質問する

面接で給与や福利厚生について深く掘り下げる質問は控えましょう。給与や福利厚生に関する質問は、金銭的な条件だけに興味があると見なされやすいです。面接は双方が適合しているかを判断する場であるため、企業の文化やチーム環境に焦点を当てた質問が望ましいです。
給与や福利厚生の情報は、企業のウェブサイトや求人情報で確認しましょう。事前に給与や福利厚生の情報を得ると、面接では仕事の内容や職場の雰囲気について深く理解する質問ができます。
調べればわかることを聞く
企業の基本情報や公表されている内容に関する質問は避けます。事前の情報収集を怠ったと捉えられてしまう可能性が高いです。企業の設立年や事業内容などの基本情報は、企業の公式サイトやソーシャルメディアで容易に得られます。
面接前には企業のウェブサイトや関連ニュースを通じて、基本的な情報は把握しておきましょう。面接官に対して真剣な姿勢と高い興味をアピールできます。
まとめ

逆質問は面接で自己アピールするための重要な手段です。面接官に対して適切な逆質問を行うと、自身の興味や熱意を示し、評価を高める効果があります。企業のリサーチを徹底し、アピールしたい内容を明確にするとスムーズに質問できます。言葉遣いやマナーを守り、面接の流れに沿った質問をすることが重要です。
さまざまなポイントを意識することで、面接の印象をより良くすることが可能です。