「志望動機をうまく書けず、自分の魅力を伝えられない」と悩む方は多くいます。書面や面接で志望動機を求められるのは、採用担当者が応募者の意欲や適性を見極めるためです。自分のやる気や魅力を十分に伝えられなければ、良い結果を得られません。
私はプライム上場メーカー企業で7年以上採用業務に関わり、これまで1,000人以上の方を面接してきました。この記事では、志望動機の書き方や職種別の例文、よくある間違いを詳しく解説します。記事を読めば、自分の強みを活かした魅力的な志望動機を作成できます。企業研究と自己分析をもとに、説得力のある志望動機を作成しましょう。
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志望動機の書き方の基礎知識

志望動機は就職・転職活動における重要な要素です。志望動機の書き方の基礎知識として以下を解説します。
- 志望動機と自己PRの違い
- 志望動機を書く目的
- 採用担当者が志望動機で見ているポイント
志望動機と自己PRの違い
志望動機と自己PRは、それぞれが異なる役割を担います。志望動機は「なぜこの企業で働きたいのか」という理由を説明するもので、自己PRは「どのような人物なのか」を伝えるものです。採用担当者は両者の違いをしっかりと見極めているため、内容を混同させないよう注意しましょう。
両者の違いは以下のとおりです。
項目 | 志望動機 | 自己PR |
主な内容 | 企業を選んだ理由や入社後の目標 | 自分の長所や実績のアピール |
視点 | 企業視点で書く | 自分視点で書く |
準備に必要なこと | 企業研究が重要 | 自己分析が重要 |
重視する時期 | 入社後のビジョンが中心 | 過去の経験が中心 |
志望動機では企業の事業内容や将来性に触れながら、自分の経験や能力がどのように活かせるかを説明します。自己PRでは自分の性格や行動特性、学生時代の経験などを中心に述べます。両者の違いを理解し、それぞれの特徴を活かした文章を作成しましょう。
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志望動機を書く目的

志望動機を書く主な目的は以下のとおりです。
- 企業への理解度を示す
- 仕事への意欲をアピールする
- 入社後のビジョンを明確にする
- 自分の強みと企業のニーズを結びつける
- 採用担当者に応募者の熱意と適性を伝える
- 他の応募者との差別化を図る
志望動機は単なる企業への興味表明ではありません。企業の事業内容や課題を理解したうえで、自分の経験や能力をどのように活かせるかを具体的に説明することが大切です。入社後の目標や将来のキャリアプランにも触れることで、企業との相性の良さをアピールできます。
採用担当者が志望動機で見ているポイント
採用担当者は志望動機を通して、応募者の資質と意欲を見極めます。注目されるのは、企業理念や事業内容への理解度、入社後の具体的な貢献イメージ、キャリアプランとの整合性です。エントリーシートには多くの志望動機が記載されているため、先方の目に留まる内容にすることが重要です。
企業研究の深さは重視されます。企業の強みや課題を把握したうえで、自分の経験や能力をどのように活かせるかを具体的に説明しましょう。入社後のビジョンを明確に示せば、長期的な貢献への意欲も伝わります。
志望動機を書く前に準備すること

志望動機を作成する前に必要な準備は以下のとおりです。
- 自分の強みと弱みを知る
- 応募先企業の理解を深める
- 転職理由との一貫性を持たせる
自分の強みと弱みを知る
効果的な志望動機を書くには、自己分析が欠かせません。自分の強みや弱みを客観的に理解すると、企業にアピールできるポイントが明確になります。学生時代の活動や職務経験、資格取得など、具体的なエピソードを振り返りながら、自分の特徴を掘り下げましょう。
応募先企業が求める人材像と自分の強みを照らし合わせ、マッチする部分を見つけます。適性診断テストやキャリアカウンセリングなどを活用し、自己理解を深めましょう。自分の価値観や仕事観を整理し、長期的なキャリアビジョンを描けば、より説得力のある志望動機を作成できます。
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応募先企業の理解を深める

企業の事業内容や特徴を深く理解すると、自分の経験や能力をどのように活かせるかを具体的に示せます。企業研究で注目すべきポイントは以下のとおりです。
- 企業理念と経営方針を確認する
- 主力事業と市場での強みを把握する
- 将来の成長戦略を理解する
- 最近のニュースや業界動向を調べる
- 採用情報から求める人材像を確認する
企業の公式サイトや決算資料、ニュースリリースなどから情報を収集しましょう。企業の課題や将来のビジョンを理解すると、自分がどのような価値を提供できるかを説明できます。競合他社との比較分析も有効です。志望企業の独自性や強みをより深く理解できます。
転職理由との一貫性を持たせる
転職者の志望動機では、現在の仕事を辞めて新しい環境に挑戦する理由を明確に説明する必要があります。待遇改善や勤務条件の都合だけでなく、キャリアの方向性や自己成長の観点から転職を決意した背景を伝えましょう。前職での経験を活かしつつ、新しい環境でさらなる成長を目指す意欲が重要です。
転職理由と志望動機の一貫性を保てば、応募者の真意が説得力を持ちます。ITスキルを深めたいのであれば、志望企業の先進的な技術開発体制に触れ、具体的なスキルアップのイメージを示せます。キャリアビジョンを明確に持っており、夢の実現のために志望企業を選んだといった流れを作りましょう。
志望動機の構成と書き方

効果的な志望動機を作成するためのポイントを以下の項目に分けて解説します。
- 書き出し
- 本文
- 締めくくり
書き出し
志望動機の書き出しは、採用担当者の関心を引く重要な部分です。結論から述べることで読み手の理解を助け、続きを読みたくなる文章になります。「貴社の○○事業に強く惹かれ、私の経験を活かして貢献したいと考えています」など、簡潔かつ具体的な志望理由を示します。
書き出しは短すぎず、かといって長々と説明しすぎないバランスが重要です。企業の特徴や事業内容に触れながら、自分の経験や能力との関連性を示唆する程度にとどめます。具体的なエピソードは本文で詳しく説明すれば問題ありません。一般的な表現は避けて、企業の個性を見つけて訴求しましょう。
本文

志望動機の本文では、書き出しで述べた内容を具体的に掘り下げます。自己分析と企業研究の結果をもとに、説得力のある内容を展開しましょう。本文に盛り込むべき要素は以下のとおりです。
- 志望理由を裏付けるエピソードを示す
- 企業の課題と自分の強みを結びつける
- 具体的な数値や実績を盛り込む
- 入社後の貢献イメージを説明する
- 長期的なキャリアビジョンを示す
学生時代の研究やインターンシップ、職務経験など、具体的なエピソードを交えながら説明すると説得力が増します。企業の成長戦略や課題に触れながら、自分の経験や能力がどのように活かせるかを説明しましょう。
締めくくり
志望動機の締めくくりでは、入社後のビジョンと決意を示します。採用担当者に強い印象を残すため、具体的な目標と熱意を簡潔に述べましょう。「貴社の○○事業で得た経験を活かし、将来は海外展開のリーダーとして貢献したい」など、長期的なキャリアビジョンを示します。
締めくくりは2〜3文程度にまとめるのが理想的です。入社後の具体的な目標を示しつつ、夢の実現に向けた強い意欲を伝えましょう。企業の将来像と自分のキャリアプランを結びつければ、より説得力のある志望動機になります。感謝の言葉を添えると、誠実さと礼儀正しさも伝わります。
【職種別】志望動機の書き方と例文

以下の職種別に志望動機の書き方と例文を解説するので、参考にしてください。。
- 営業職
- エンジニア職
- 事務職
営業職
営業職の志望動機では、コミュニケーション能力や課題解決力を中心にアピールします。顧客の潜在的なニーズを引き出し、最適な提案ができる能力が重視されるためです。以下の例文を参考にしてください。
「私は学生時代のアパレル販売のアルバイトで売上向上に貢献しました。お客様のニーズを丁寧にヒアリングし、最適な商品を提案したからです。販売の経験を活かし、貴社の営業職としてお客様の課題解決に貢献したいと考えています」
業界の動向や市場の課題を理解したうえで、自分がどのように営業活動を展開したいかを具体的に説明しましょう。目標達成への意欲と顧客志向の姿勢を示せば、営業職としての適性をアピールできます。
エンジニア職

エンジニア職の志望動機に盛り込むべき要素は以下のとおりです。
- 保有する技術スキルを具体的に示す
- プロジェクト経験や成果を数値で表す
- 技術トレンドへの関心を伝える
- チーム開発への適性をアピールする
- 将来の技術的なビジョンを示す
エンジニア職では、技術力とプロジェクト経験が重視されます。学生時代の研究や個人開発、インターンシップでの経験など、具体的な開発実績を示しましょう。「○○言語を使用したWebアプリケーションの開発で、ユーザー数を3か月で1,000人まで増やした」などです。
具体的な成果は、技術力の高さを効果的にアピールにつながります。
事務職
事務職の志望動機では、正確性と効率性を重視する姿勢が重要です。データ入力や書類作成、スケジュール管理など、基本的な事務スキルに加え、業務改善への意欲も求められます。以下の例文を参考にしてください。
「前職での経理事務の経験で、会計ソフトを使用した売上管理や請求書作成業務を担当しました。毎月の締め作業を3日間から1日に短縮しました。ExcelのVBAを活用して定型業務を自動化し、作業効率を30%向上させた実績もあります」
業務の効率化や情報管理の重要性を理解し、組織全体のサポート役として貢献する意欲を伝えましょう。
志望動機を書く際によくある間違い

志望動機を書く際に、避けるべき表現は以下のとおりです。
- 「御社の理念に共感しました」
- 「御社のサービスが好きです」
- 「学ばせてください」
「御社の理念に共感しました」
「御社の理念に共感しました」という表現は、志望動機として説得力に欠けます。企業理念に共感したという表面的な説明だけでは、採用担当者の心に響きません。具体的なエピソードを交えながら、理念と自分の価値観が、どのように結びつくのかを説明する必要があります。
「貴社が掲げる顧客第一主義に共感したのは、学生時代のアルバイトで接客業務を経験したからです。お客様の声に真摯に向き合う重要性を現場で実感しました。」といった具体的な説明があれば、より説得力のある志望動機になります。
「御社のサービスが好きです」

単に「御社のサービスが好きです」と述べるだけでは、志望動機として不十分です。なぜサービスが優れているのか、市場でどのような価値を提供しているのかの具体的な分析が必要です。志望動機を説得力のあるものにするには、以下のポイントを意識しましょう。
- サービスの特徴や強みを分析する
- 市場での競争優位性を理解する
- 社会的な価値や貢献度を説明する
- 将来の発展可能性に言及する
- 自分の経験との関連性を示す
「貴社のオンライン教育サービスは、地方在住者でも質の高い教育を受けられる点で画期的です。私も地方出身で教育機会の格差を実感してきました。サービスをより多くの方に届けられるよう、営業職として貢献したいと考えています。」といった具体的な説明があれば、より説得力のある志望動機になります。
「学ばせてください」
「学ばせてください」という表現は、受け身の姿勢を示すので避けるべき表現です。採用担当者は、即戦力として活躍できる人材を求めています。学ぶ意欲自体は大切ですが、企業に価値を提供できる人材としてアピールできません。
「これまでの経験を活かしながら、新しいスキルも吸収し、○○の分野で貢献したい」など、価値を生み出す姿勢を示しましょう。単に成長したいという漠然とした目標ではなく、具体的な学習目標と貢献イメージを示すのがコツです。学ぶ姿勢と価値提供の意欲を両立しましょう。
志望動機の書き方に関するよくある質問

志望動機の書き方に関するよくある質問は以下のとおりです。
- 志望動機の使い回しはNG?
- 志望動機の文字数の目安は?
- 面接で話す志望動機と履歴書に書く志望動機の違いは?
志望動機の使い回しはNG?
志望動機の使い回しはNGです。企業には独自の特徴や課題があり、求める人材像も異なります。共通部分を完全に削除する必要はありませんが、企業ごとの特徴を踏まえた内容に調整しましょう。自己分析の結果や保有スキルなど、基本的な情報は共通して使えます。
企業の事業内容や将来ビジョンに触れる部分は、必ず個別に書き直してください。企業研究を十分に行い、企業ならではの魅力や課題に言及すると、志望動機の説得力が増します。定期的に内容を見直し、具体的で説得力のある志望動機にブラッシュアップしましょう。
志望動機の文字数の目安は?

志望動機の文字数は、提出媒体によって異なります。エントリーシートでは400〜600字、履歴書では200〜300字程度が一般的です。面接では1〜2分程度で話せる量を目安にしましょう。企業から文字数の指定がある場合は、必ず範囲内で作成します。
長すぎる志望動機は読み手の負担になり、短すぎると熱意が伝わりにくいので注意が必要です。限られた文字数で効果的に伝えるには結論から述べ、具体的なエピソードを交えながら、簡潔な文章で説明しましょう。個別の指定がない場合は、A4用紙の3分の1程度を目安に作成します。
面接で話す志望動機と履歴書に書く志望動機の違いは?
面接と履歴書では、志望動機の伝え方に違いがあります。以下の表に違いをまとめました。
項目 | 面接での志望動機 | 履歴書の志望動機 |
詳細度 | 具体的なエピソードを詳しく説明する | 要点を簡潔にまとめる |
表現方法 | 表情やジェスチャーで熱意を表現する | 文章力で熱意を伝える |
質疑応答 | 質問に応じて柔軟に説明 | 一方通行のコミュニケーション |
時間・文字数 | 1〜2分程度の説明が目安になる | 200〜300字程度に収める |
面接では、履歴書に書いた内容をベースに、詳しい説明やエピソードを加えます。「海外インターンシップで異文化コミュニケーションを学んだ」と、履歴書に書いたとします。面接では「○○国での具体的な経験」や「海外で得た気づき」まで掘り下げるイメージです。
» 面接での志望動機の伝え方を徹底解説!
質問に応じて柔軟に内容を展開し、自分の熱意や適性をより効果的にアピールしましょう。
» 履歴書の書き方|基礎知識から注意点まで一挙解説!
まとめ

志望動機は、採用選考において重要な要素です。企業研究と自己分析を十分に行い、志望理由を具体的かつ論理的に説明します。書き出しや本文、締めくくりの構成を意識し、職種に応じた適切な内容を盛り込みましょう。よくある間違いを避け、オリジナリティのある志望動機を作成することが大切です。
面接と履歴書では伝え方を使い分け、それぞれの特性を活かした表現を心がけましょう。志望動機は定期的に見直し、魅力的な内容へブラッシュアップすることが採用成功への近道です。
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