面接会場のドアの前に立ったとき、「ノックは何回が正解だろう?」「お辞儀のタイミングはどこ?」「ドアを閉めながら挨拶するの、それとも閉めてから?」と頭が真っ白になった経験はありませんか。入退室はわずか数十秒の動作ですが、第一印象の8割が決まると言われるほど合否への影響は大きく、にもかかわらず正しい流れを体系的に学ぶ機会は意外と少ないものです。
プライム上場メーカーで7年以上採用業務に携わり、1,000人以上の方を面接してきました。ドアが開いた瞬間に「この人は準備をしてきたな」と感じる候補者と、残念ながら「基本のマナーが身についていない」と感じてしまう候補者には、実はほんの数秒の所作の違いしかありません。その差はテクニックよりも、流れを正しく理解しているかどうかで生まれます。
この記事を読み終えると、入室6ステップ・退室4ステップの正しい流れ、先に通された場合・Web面接・集団面接などケース別の正解、避けるべきNG行動7選、合否を分ける採用担当者目線の3つのポイントまでがすべてわかり、面接当日に自信を持ってドアを開けられるようになります。面接30分前・1分前にやるべきチェックリストも用意したので、当日この記事を見返すだけで万全の準備が整います。
面接対策に不安がある方は、転職のプロに相談するのも選択肢のひとつです。
面接の入室・退室マナーの全体像【30秒で確認】

細かい所作に入る前に、入室から退室までの全体像をひと目で確認できるよう整理しました。面接当日に時間がない方は、まずこの一覧だけ頭に入れておけば大きく崩れることはありません。細部の理由は本文で順番に解説していきます。
| 場面 | 動作 | ポイント |
|---|---|---|
| 1. ドア前 | ノック3回 | 2回はトイレ、4回以上は過剰 |
| 2. 入室 | 「失礼いたします」 | ドアを開けてから発声 |
| 3. ドア閉め | 体を半身で静かに | 後ろ手はNG |
| 4. お辞儀 | 30度・分離礼 | 言葉→お辞儀の順 |
| 5. 椅子横 | 立って指示を待つ | 勝手に着席しない |
| 6. 着席 | 「失礼いたします」 | 浅めに腰掛ける |
| 7. 終了お礼 | 座ったまま感謝 | 具体的に一言添える |
| 8. 立ち上がり | 椅子横で30度礼 | 荷物を忘れない |
| 9. ドア前 | 振り返って30度礼 | 最後の印象を残す |
| 10. 退室 | 静かにドアを閉める | 建物を出るまで気を抜かない |
採用担当者の本音:私たち面接官は、上の10ステップを「できているか」より「自然にこなせているか」で見ています。ぎこちなくても丁寧にやろうとしている候補者には好印象を持ちます。逆に、所作は完璧でも目線が冷たかったり、機械的に動いていると「マニュアル通り」と感じてしまいます。形と心、両方を意識することが大切です。
面接の入室マナー|基本の流れ6ステップ

面接の入室は、以下の6ステップで進めるのが基本です。それぞれの動作には「なぜそうするのか」という理由があり、理由を理解しておくとイレギュラーな場面でも自分で正しい判断ができるようになります。
- ドアを3回ノックする
- 「失礼いたします」と言って入室する
- ドアを静かに閉める
- 面接官に向かってお辞儀をする
- 椅子の横に立って待つ
- 指示されてから着席する
ステップ1:ドアを3回ノックする
入室時のノックは3回が転職面接では一般的です。2回はトイレなど空室確認に使われるノック回数のため、ビジネスの場では避けましょう。国際プロトコル上は4回が正式とされますが、日本のビジネス慣習では3回が最も一般的で違和感がありません。ノックの強さは「コンコンコン」と室内にしっかり聞こえる程度が適切です。弱すぎると気づいてもらえず、強すぎると乱暴な印象を与えます。
ノック後は2〜3秒待ち、「どうぞ」という声が聞こえてから入室してください。声が聞こえない場合は、少し間を空けてもう一度ノックし直します。返事を待たずに開けてしまうと、面接官がまだ準備中だった場合に資料を見られてしまうリスクがあります。
採用担当者の本音:ノックの回数を間違えたからといって即不合格にはしません。ただし、ノックなしでいきなりドアを開ける候補者には「基本的なビジネスマナーが身についていないのでは」と感じることがあります。回数より「ノックをした」という事実のほうがはるかに重要です。
ステップ2:「失礼いたします」と言って入室する
ドアを開けたら、面接官のほうを見て「失礼いたします」とはっきり聞こえる声で挨拶します。このとき、ドアを完全に開けてから言葉を発するのがポイントです。ドアを開けながら同時に話すと、声がこもって聞き取りにくくなり、せっかくの挨拶が伝わりません。
緊張していると声が小さくなりがちですが、普段の会話より少しだけ大きめの声を意識しましょう。自然な笑顔を添えると、第一印象が格段に良くなります。複数の面接官がいる場合は、正面の方を中心に全員に聞こえる声量で挨拶してください。
声出しの練習法:当日朝、自宅の鏡の前で「失礼いたします」「よろしくお願いいたします」「ありがとうございました」の3フレーズを5回ずつ声に出しましょう。声帯と口がほぐれて、本番で声が裏返るのを防げます。
ステップ3:ドアを静かに閉める
入室後は面接官に背中を見せないよう、体を斜めに向けながらドアを閉めるのがマナーです。ドアノブをゆっくり回し、音を立てずに閉めましょう。後ろ手でドアを閉めるのはNGです。片手をドアノブに添え、もう片方の手で軽くドアを押さえると、丁寧かつ静かに閉められます。
ドアが完全に閉まったことを音と感触で確認してから、面接官のほうへ向き直りましょう。ここで焦ってバタンと閉めてしまうと、緊張感が一気に高まり、その後の挨拶やお辞儀にも影響します。「ドアを閉める時間」を意識的にゆっくり取ることが、心を落ち着ける効果もあります。
ステップ4:面接官に向かってお辞儀をする
ドアを閉め終わったら、面接官の正面に体を向けて「よろしくお願いいたします」と挨拶し、お辞儀をします。お辞儀の角度は約30度(敬礼)が適切です。
- 背筋を伸ばしたまま腰から上体を倒す
- 目線は自分の足元から1〜2メートル先に落とす
- 頭だけを下げる「首振りお辞儀」にならないよう注意
- お辞儀の最下点で1秒静止してからゆっくり戻す
- 戻すスピードは下げるスピードの半分が美しい
「言葉を言い終えてからお辞儀をする」のが正式なマナーで、これを分離礼(ぶんりれい)といいます。挨拶とお辞儀を同時に行う「ながらお辞儀」は、慌ただしく落ち着きのない印象を与えがちです。分離礼を意識するだけで、他の候補者と差がつく丁寧な印象を残せます。
ステップ5:椅子の横に立って待つ
お辞儀のあとは椅子の横(ドア側)に立ち、面接官の指示を待ちます。席に向かう際は、面接官に背を向けないようにしながら自然に歩を進めてください。立ち姿勢のポイントは以下のとおりです。
- 背筋を伸ばし、あごを軽く引く
- 両手は体の前で軽く重ねるか、脇に自然に添える
- 荷物は椅子の横(利き手と反対側)の床に置く(膝の上はNG)
- 面接官とアイコンタクトを取り、指示を待つ
- 落ち着きなく体を揺らさない
カバンは自立するタイプを選んでおくと、置いたときに倒れず見た目もスマートです。コートを持っている場合は、裏返してたたみカバンの上に置きましょう。コートをハンガーにかけるのは、面接官や受付から指示があったときだけにします。
» 面接のカバンはこれで決まり!選び方・持ち方・中身を徹底解説
ステップ6:指示されてから着席する
面接官から「どうぞおかけください」と言われたら、「失礼いたします」と一言添え、軽くお辞儀をしてから静かに着席します。勝手に座ってしまうと「指示を待てない人」と判断されかねないため、必ず指示を待ちましょう。
- 椅子を大きく引かず、静かに座る
- 背もたれに寄りかからず、浅めに腰掛ける
- 男性は手を軽く握って膝の上に置く
- 女性は両手を重ねて膝の上に置く
- 足は肩幅程度に開くか、軽く揃える
- 鞄は椅子の脚に立てかけるように置く
着席後は面接官の目を見て、深呼吸をして落ち着きましょう。表情を柔らかく保つことで、面接官側もリラックスして質問に入れます。面接の最初の1分は、お互いの空気感を整える時間でもあります。
面接の退室マナー|好印象を残す4ステップ

面接は入室だけでなく、退室の仕方でも印象が大きく変わります。「終わりよければすべてよし」という言葉のとおり、最後まで丁寧に振る舞うことが合格率を高めるポイントです。むしろ退室時のほうが緊張が解けて素が出やすいため、ここで差がつくと言っても過言ではありません。
- 面接終了のお礼を述べる
- 椅子の横に立ってお辞儀をする
- ドアの前で再度お辞儀をする
- ドアを静かに閉めて退室する
ステップ1:面接終了のお礼を述べる
面接官が「以上です」「本日はありがとうございました」と告げたら、座ったままの姿勢で「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」とお礼を述べます。立ち上がりながら話してしまうと、感謝の気持ちが伝わりにくくなります。
「ありがとうございました」の一言で終わらせるのではなく、面接の機会をいただいた感謝を具体的に伝えると、より好印象です。面接官が複数いる場合は、一人ひとりの目を見ながらお礼を伝えましょう。
退室時のお礼の例文
「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。御社の◯◯事業についてのお話を伺うことができ、入社後のイメージがより明確になりました。本日のお話を踏まえて、改めて志望度が高まりました。よろしくお願いいたします。」
ステップ2:椅子の横に立ってお辞儀をする
お礼を述べたら、椅子から静かに立ち上がり、椅子の横(入室時と同じ側)に移動します。姿勢を正して面接官のほうを向き、約30度のお辞儀をしましょう。立ち上がるときに椅子を引きずって音を立てないよう注意してください。
採用担当者の本音:このタイミングで荷物を忘れる候補者が一定数います。面接官側から「カバンをお忘れですよ」と声をかけることもありますが、心の中では「集中力が切れているな」「優先順位の整理が苦手かも」と感じてしまうのも事実です。立ち上がる前に荷物の位置を一度確認する癖をつけましょう。
ステップ3:ドアの前で再度お辞儀をする
ドアの前に到着したら、もう一度面接官のほうを振り返り、「失礼いたします」と言ってから約30度のお辞儀をします。この「ドア前のお辞儀」は面接官に見られる最後の瞬間です。丁寧な動作を心がけ、2〜3秒間姿勢を保持してからゆっくりと上体を起こしましょう。
ステップ4:ドアを静かに閉めて退室する
お辞儀を終えたら、ドアノブに手をかけ、面接官のほうに体を半分向けたままドアを開けます。退室しながら、最後にもう一度軽く会釈をしてドアを閉めましょう。ドアが完全に閉まったことを確認してから、静かに廊下を歩きます。
退室直後にやりがちなNG行動
面接室を出た直後に大きなため息をついたり、スマートフォンを取り出したりするのは控えてください。壁が薄い面接室では、廊下の声が室内まで届くことがあります。「やっと終わった〜」という一言が面接官の耳に入り、評価が一変したケースもあります。建物を出るまでが面接と心得ましょう。
【ケース別】面接の入退室で迷うシーン別の対応法

面接の入退室は、毎回同じ状況とは限りません。「面接官がまだ来ていない」「ドアが開いていた」「会議室にすでに人がいた」など、イレギュラーな場面でも落ち着いて対応できるよう、6つのケース別マナーを確認しておきましょう。
ケース1:面接官より先に部屋に通された場合
受付の案内で先に会議室に通されるケースです。近年、20代向けの転職面接ではこのパターンが最も多いといえます。以下の手順で対応します。
- 案内された席、またはドア側(下座)の椅子の横に立って待つ
- 面接官が入室したらすぐに立ち上がり、椅子の横でお辞儀をして「よろしくお願いいたします」と挨拶する
- 面接官の指示があるまで着席しない
- テーブルに飲み物が用意されていても、勧められるまで手をつけない
先に部屋に通されたからといって、勝手に着席するのはNGです。ただし、案内係から「おかけになってお待ちください」と明確に指示された場合は、椅子に浅めに腰掛けて静かに待ちましょう。その場合も、面接官入室時には立ち上がって挨拶することを忘れないでください。
ケース2:面接官と一緒に入室する場合
面接官と廊下や受付で合流し、一緒に面接室へ向かうケースもあります。オフィス見学を兼ねる場合や、小規模企業ではよくあるパターンです。
- 面接官の後ろについて歩く(先に入らない)
- 面接官がドアを開けてくれたら「ありがとうございます」と一言添える
- 面接官がドアを閉めない場合は、自分で静かに閉める
- 着席は面接官の指示に従う
- 雑談を振られても、業務に関係のない深い話は避ける
ケース3:ドアがすでに開いている場合
ドアが開いている場合、ノックするかどうか迷う方は多いのではないでしょうか。正しい対応は次のとおりです。
- ドアの前で一度立ち止まり、室内の様子を確認する
- ドア枠や壁を軽く2〜3回ノックする(音を立てる程度でOK)
- 面接官の反応を確認してから「失礼いたします」と言って入室する
- ドアが開いていても、入室後は静かに閉めるか、面接官に確認する
ノックなしで無言で入室するのは絶対に避けましょう。ドアが開いている=入っていいよ、という合図ではありません。面接官側で「待ってもらっておいて」と意図的に開けているケースもあります。
ケース4:面接官に名刺を渡された場合
面接の場で名刺を渡されることもあります。以下の手順で丁寧に対応しましょう。
- 両手で丁寧に名刺を受け取る
- 「ちょうだいいたします」と言って軽くお辞儀をする
- 面接官の名前と所属を確認する(その場で読み上げてもOK)
- 受け取った名刺はテーブルの上に丁寧に置く(面接中に参照できるように)
- 面接終了後、名刺入れにしまってから退室する
転職面接で候補者側から名刺を渡す必要はありません。在職中の会社の名刺を渡すと「現職の肩書を利用している」「情報管理意識が低い」と誤解されかねません。名刺交換を明確に求められた場合のみ、私用の名刺で対応するのが安全です。
ケース5:集団面接(グループ面接)の場合
集団面接では、複数の候補者が同時に入退室します。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 最初に入室する人がドアを開け、後続の人のためにドアを押さえておく
- 指示された座席に順番に着席する
- 他の候補者が回答しているときは、姿勢よく聞く(うなずきなども自然に)
- 退室時は全員でお辞儀をしてから、ドア側の人から順に退室する
- 自分が最後に退室する場合はドアを閉める役割を担う
採用担当者の本音:集団面接では「協調性」も評価対象です。自分が話す番ではないときの聞く姿勢・反応を見ています。他の候補者の話に明らかにつまらなそうな顔をしたり、貧乏ゆすりをしていると、それだけで評価が下がることもあります。
ケース6:Web面接(オンライン面接)の場合
Web面接には物理的な入退室はありませんが、「入室」と「退室」に相当するマナーがあります。対面以上に挨拶の所作が重要視される傾向があります。
| 場面 | 対応方法 |
|---|---|
| 入室(接続時) | 開始5分前にはミーティングURLにアクセスし、待機する。接続後すぐに「本日はお時間をいただきありがとうございます。よろしくお願いいたします」と挨拶する |
| 面接中 | カメラの位置を目線の高さに合わせ、画面ではなくカメラを見て話す。背景は白い壁やシンプルな空間が理想 |
| 退室(終了時) | 面接官が「以上です」と告げたらお礼を述べる。「失礼いたします」と一礼してから、面接官が退出するのを待って自分も退出する |
転職活動をひとりで進めるのが不安な方は、プロのサポートを活用するのも選択肢です。
入退室で絶対に避けたいNG行動7選

入退室の所作でマイナス評価を受けてしまうと、面接本番でいくら良い受け答えをしても挽回が難しくなります。1,000人以上の面接で実際に「これは残念」と感じた7つのNG行動を、優先度順に紹介します。
NG1:ドアの扱いが雑(バタンと閉める)
勢いよくドアを開ける、バタンと閉める、後ろ手で閉めるなどの行為は、面接官に「配慮が足りない」「日常的に雑な動作をしているのでは」という印象を与えます。特に退室時は気が緩みやすいため、最後まで丁寧にドアを閉めることを意識しましょう。ドアを閉める音は、面接室のすぐ外で待機している次の候補者にも聞こえています。
NG2:声が小さすぎる・大きすぎる
「失礼いたします」が聞こえないほど小さい声だと、自信のなさや消極性を感じさせます。逆に大きすぎる声は威圧的で、面接官を驚かせてしまいます。普段の会話よりワントーン高め・少し大きめを意識するとちょうどよいでしょう。事前に自宅で発声練習をしておくと、本番でも自然に声が出せます。
NG3:視線が定まらない(キョロキョロする)
入退室中にキョロキョロと周囲を見渡したり、床や天井ばかり見たりすると、落ち着きがない・不誠実という印象を与えます。入室時は面接官の目を見て挨拶し、退室時もドア前で振り返って面接官に目を合わせてからお辞儀をしましょう。目を合わせるのが苦手な方は、面接官の眉間や鼻の頭を見るだけでも「目が合っている」印象になります。
NG4:姿勢が悪い(猫背・そり返り)
猫背で歩くとだらしない印象を与え、逆に胸を張りすぎると不自然で威圧的に映ります。背筋を伸ばし、あごを軽く引き、肩の力を抜いた状態が自然で好印象を与えるポイントです。面接室に入る前に、一度壁に背中・後頭部・かかとを付けて正しい姿勢を確認するのもおすすめです。
NG5:無言で入室・退室する
緊張のあまり無言で入退室してしまう候補者は少なくありません。しかし、挨拶をしないと「社会人としての基本マナーが欠けている」「コミュニケーションに不安がある」と判断されるリスクがあります。入室時は「失礼いたします」、退室時は「本日はありがとうございました。失礼いたします」を必ず口に出しましょう。声に出すことで、自分自身の緊張もほぐれます。
NG6:服装・身だしなみの乱れ
面接室に入る直前に服装が乱れていると、第一印象で大きく損をします。入室前にトイレの鏡で必ず以下をチェックしてください。
- ネクタイが曲がっていないか
- シャツやブラウスがズボン・スカートから出ていないか
- 髪型が乱れていないか(特に前髪と耳周り)
- 靴に汚れがないか
- 肩にフケや髪の毛がついていないか
NG7:携帯電話の音が鳴る・着席後にチラ見する
面接中に携帯電話の着信音やバイブ音が鳴ると、「準備不足」「集中力が低い」と判断され、評価が大きく下がります。面接室に入る前に必ず電源を切るか機内モードに設定しましょう。サイレントモードでもバイブ音がテーブルに響くケースがあるため、機内モードが最も安全です。着席後にチラチラと時計やスマートフォンを見るのも、相手への失礼にあたるので注意してください。
入退室の印象を格上げする5つのテクニック|採用担当者の本音

基本の流れを押さえたうえで、さらに一歩差をつけるテクニックを紹介します。1,000人以上の面接で「この人は印象がいいな」と感じた候補者に共通していたポイントです。所作のうまさより、相手への配慮の細やかさが評価されている傾向があります。
テクニック1:分離礼(挨拶とお辞儀を分ける)を徹底する
前述のとおり、「言葉を言い切ってからお辞儀をする」分離礼は、面接官に丁寧で落ち着いた印象を与えます。多くの候補者が「失礼いたします」と言いながらお辞儀をしますが、言葉と動作を分けるだけで、他の候補者との差別化ができます。「いたします」を言い切る→1拍置く→お辞儀、というリズムで覚えるとスムーズです。
テクニック2:入室後の「間」を意識する
入室してすぐに椅子に向かうのではなく、ドアを閉めた後に一瞬「間」を作り、面接官と目を合わせてから挨拶に入ると、余裕のある大人の印象を与えられます。焦って動くと慌ただしく見えるため、ひと呼吸置くことを意識しましょう。この「間」は1〜2秒で十分です。沈黙が気まずく感じるかもしれませんが、面接官側はむしろ落ち着きを感じます。
テクニック3:退室時に面接内容に触れたお礼を述べる
退室時のお礼を「ありがとうございました」で終わらせるのではなく、面接で話した内容に一言触れると印象に残りやすくなります。
退室時お礼の応用例
「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。御社の◯◯事業についてのお話を伺い、ますます志望度が高まりました。何卒よろしくお願いいたします。」
(注:長々と話す必要はありません。一言だけ添えるのがポイントです)
テクニック4:お辞儀の「角度」を場面で使い分ける
お辞儀には3つの種類があり、場面によって使い分けると好印象です。同じ30度のお辞儀ばかりではなく、シーンに応じて使い分けることで「ビジネスマナーが身についている」という印象を与えられます。
| 種類 | 角度 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 会釈 | 約15度 | 廊下ですれ違うとき・退室時のドア前会釈 |
| 敬礼 | 約30度 | 入室時・退室時の椅子横でのお辞儀 |
| 最敬礼 | 約45度 | 最終面接での入退室・特に感謝を伝えたいとき |
テクニック5:建物を出るまで気を抜かない
面接室を出た後も、エレベーターや受付、ビルのロビーで社員とすれ違う可能性があります。廊下でスマートフォンを取り出す、コートを雑に着る、大きなため息をつくといった行動は避けてください。受付の方への「ありがとうございました」の一言も忘れずに添えましょう。
採用担当者の本音:面接後にエレベーターで候補者と偶然一緒になることがあります。そのとき、面接室でのキリッとした印象とのギャップに驚くことも少なくありません。「あの応募者、扉が閉まった瞬間にスマホをいじり始めた」「ロビーで電話してた」といった情報は、不思議と社内で共有されるものです。建物の外に出るまで面接は続いていると思ってください。
【男女別】服装・体格別の入退室マナーの違い

入退室の基本動作は男女で同じですが、服装の特性により気をつけるべきポイントが微妙に異なります。とくにお辞儀や着席時の所作で差が出やすいため、自分に当てはまる項目を確認しておきましょう。
男性の場合の注意点
- ジャケットのボタンは立っているときは留め、座るときに外すのがマナー(ダブル前提)
- ネクタイは深いお辞儀で揺れて顔に当たらないよう、ピンや結び目を確認
- ズボンのプレスが消えやすい膝裏は、椅子に深く座らないことでキープできる
- 靴下は黒・濃紺の無地。お辞儀の際にちらりと見える色に注意
- 着席時は両膝を肩幅程度に開き、手は軽く握って太ももの上に置く
女性の場合の注意点
- スカートの場合、座る前に後ろを軽く手で押さえると裾が乱れない
- 髪が長い人はお辞儀のときに前に流れて顔が隠れないよう、ハーフアップやひとつ結びがおすすめ
- パンプスのヒールは5〜7cmがビジネスシーンの目安。歩くときのコツコツ音にも注意
- アクセサリーは小ぶりなものを1点まで(揺れるピアスはお辞儀のときに目立つので避ける)
- 着席時は両膝を揃え、足は斜めにずらすか真っ直ぐ閉じる
男女共通:コート・大きな荷物の扱い
建物に入る前にコートは脱いで腕にかけるのがビジネスマナーです。面接室では、コートを裏返してたたみカバンの上に置きます。面接官や受付から「ハンガーをどうぞ」と案内があった場合のみ、ハンガーを使用しましょう。大きなキャリーケースを持参する場合は、可能な限り駅のコインロッカーに預けてから訪問するのがベストです。
入退室直前にやるべき1分間チェックリスト

面接会場のビルに到着したら、入室前に以下のチェックリストで最終確認をしましょう。トイレの鏡の前で1分あれば、すべてチェックできます。落ち着いて確認することで気持ちも整い、ドアの前に立ったときの緊張が和らぎます。
身だしなみチェック(30秒)
- 髪型は乱れていないか(前髪が目にかかっていないか)
- ネクタイ・リボンは正しい位置にあるか
- シャツ・ブラウスの襟は整っているか
- スーツ・ジャケットにシワや汚れはないか
- 靴に傷や汚れがないか
- アクセサリーは控えめか(ピアス・ネックレスは1つまで)
- 爪は短く整えられているか
- 口臭対策はしたか(ミントタブレットなど)
持ち物チェック(20秒)
- 履歴書・職務経歴書のコピー(予備1部含む)
- 求人票・企業情報のメモ
- 筆記用具(ボールペン・メモ帳)
- ハンカチ・ティッシュ
- 携帯電話を機内モードに設定済みか
- 腕時計を装着しているか(スマートウォッチ可だが通知オフ)
- 名刺入れ(求められたとき用)
心構えチェック(10秒)
鏡の前で深呼吸を3回し、「失礼いたします」を小声で1回だけ発声してみてください。声がしっかり出るか、表情が硬すぎないかを確認します。最後に「自分の言葉で話せばいい」と心の中で唱えるだけで、緊張がふっと軽くなります。
採用担当者が見ている「合否を分ける」入退室の3つのポイント

ここまで読んできた方は、入退室の流れと細かい所作はすでに頭に入っているはずです。最後に採用担当者が実際に何を見て合否判断しているかを、1,000人以上の面接経験から3つに絞ってお伝えします。細かいマナーを完璧にこなすより、この3つを意識するほうが結果に直結します。
ポイント1:所作よりも「自然さ」を見ている
ノックの回数やお辞儀の角度が完璧でも、それが機械的に見えると評価は伸びません。逆に多少ぎこちなくても、丁寧に振る舞おうとしている姿勢が伝われば好印象です。面接官は「マナー試験」をしているのではなく「一緒に働ける人か」を見ています。緊張は隠さなくてOKです。むしろ取り繕った余裕より、誠実な緊張のほうが評価されます。
ポイント2:入室3秒の「表情」が第一印象の核
面接官の脳内では、ドアが開いて候補者の顔が見えてから3秒以内に第一印象が決まるといわれます。このとき決定的なのは服装でも姿勢でもなく、表情です。緊張で顔がこわばっている人と、口角がほんの少し上がっている人とでは「話しやすそう」「気が合いそう」という印象がまったく違います。ドアを開ける直前に、口角を1cmだけ上げる意識をしてみてください。
ポイント3:退室時の「素」が決定打になる
面接終盤、合否判断にいちばん効くのは退室時の素の表情と所作です。面接中はみんな取り繕っているため差がつきにくいのですが、「終わった!」と気が抜けた瞬間に出るちょっとした所作——ドアの閉め方、廊下での歩き方、エレベーターでの姿勢——に、その人の普段の働き方が透けて見えます。ここを意識できる候補者は本当にごく一部なので、それだけで頭一つ抜けます。
採用担当者の本音:私は迷ったとき、最後は「この人と毎日働きたいか」で決めています。技術や経験は研修で補えますが、所作や雰囲気は変わりにくいからです。入退室の数十秒は、その判断材料を集中的に渡している時間でもあります。
どのエージェントが自分に合うか迷ったら、こちらの比較記事もご覧ください。
面接の入室・退室に関するよくある質問

- 面接のノックは2回ではだめですか?
-
2回のノックはトイレの空室確認として使われることが多いため、転職面接では3回が推奨されます。ただし、2回ノックしたからといって不合格になることはまずありません。「ノックをした」という事実のほうがはるかに重要です。
- ドアがない部屋やパーテーションで区切られた部屋ではどうすればいいですか?
-
ドアがない場合は、部屋の入り口で「失礼いたします」と声をかけ、面接官の反応を確認してから入室します。ノックは不要です。パーテーションの場合も同様に声かけで代替しましょう。オープンスペースのオフィスでは、案内の社員に着いていく形が一般的です。
- 荷物はどこに置くのが正解ですか?
-
カバンは椅子の横の床(利き手側ではなく反対側)に立てて置くのが基本です。膝の上や隣の椅子に置くのは避けましょう。コートはカバンの上にたたんで置きます。床に荷物を置くのに抵抗がある方は、自立する素材のビジネスバッグを選ぶと安心です。
- 面接の際に携帯電話はどうすればいいですか?
-
面接前に必ず電源を切るか機内モードにしてください。面接中にバイブ音が鳴るだけでもマイナス印象です。携帯電話はカバンの中にしまい、机の上に置かないようにしましょう。スマートウォッチを着けている方も、通知のオフを忘れずに。
- 面接官が複数いる場合、誰に挨拶すればいいですか?
-
入室時は全員に向けて一度だけ挨拶します。正面の方(多くは最上位役職者)を主に見ながら、他の面接官にも適度に視線を配るのがポイントです。退室時も同様に全員に向けてお礼を述べましょう。一人ずつ目を合わせて軽くうなずくと、丁寧な印象になります。
- 面接に遅刻しそうなときはどうすればいいですか?
-
遅刻が確定した時点ですぐに電話で連絡します。メールやチャットだけで済まさず、必ず電話で一報を入れてください。到着後は焦って入室するのではなく、まず気持ちを落ち着けてから「お時間を頂戴したにもかかわらず遅れまして申し訳ございません」と冒頭でお詫びしてから本題に入りましょう。
- 面接室にすでに複数人いる場合、誰から挨拶すべきですか?
-
入室時は全体に向けて一礼するだけで構いません。席に着いたあとに、最上位役職者と思われる方(中央や正面に座っている方)から順に視線を配って挨拶します。「全員に丁寧に」を意識すれば、順番に厳密なルールはありません。
- コートはいつ脱げばいいですか?
-
コートは建物に入る前に脱ぐのがマナーです。脱いだら裏返してたたみ、腕にかけて受付や面接室まで持参します。面接室では椅子の横の床にカバンを置き、その上にコートをたたんで重ねるのが一般的です。「ハンガーをどうぞ」と案内があれば、それに従ってください。
- 面接後にエレベーターで面接官と一緒になったらどうする?
-
「本日はありがとうございました」と軽く一礼してから乗り、扉が閉まったあともスマートフォンを取り出したり、ため息をつくのは控えましょう。降りる際にもう一度「ありがとうございました。失礼いたします」と挨拶すると好印象です。雑談を振られたら、無理に短く切り上げず自然に応じて構いません。
まとめ

面接の入室・退室マナーは、第一印象と最後の印象を決定づける重要な要素です。この記事で解説したポイントを最後に整理します。
- 入室はノック3回→挨拶→ドアを静かに閉める→お辞儀→椅子横で待機→指示後に着席の6ステップ
- 退室はお礼→椅子横でお辞儀→ドア前で再度お辞儀→静かに閉めて退室の4ステップ
- ケース別(先入室・同行入室・ドア開放・名刺・集団・Web面接)の対応を事前に確認しておく
- NG行動7選(ドアの雑な扱い・声の大小・視線・姿勢・無言・身だしなみ・携帯)を避ける
- 合否を分けるのは「自然さ」「入室3秒の表情」「退室時の素の所作」の3つ
入退室のマナーは、一度身につければ一生使えるスキルです。面接前に鏡の前で「失礼いたします」を声に出して練習し、自信を持って当日を迎えてください。細かい所作よりも、相手への配慮と自然さを大切にすれば、面接官に必ず誠実さは伝わります。
面接対策をさらに万全にしたい方は、模擬面接や書類添削を無料でサポートしてくれるプロのアドバイザーに相談してみるのも効果的です。以下の関連記事で、20代・第二新卒におすすめの転職エージェントや面接対策の網羅情報を確認できます。

