面接で効果的に志望動機を伝えることは難しいです。選考を有利に進めるためには、面接官が求めているポイントを押さえ、適切に伝えることが大切です。
私はプライム上場メーカー企業で7年以上採用業務に関わり、これまで1,000人以上の方を面接してきました。本記事では、効果的な志望動機の伝え方や具体的な例文を詳しく解説します。記事を読めば、自分の強みを活かしつつ、面接官に響く志望動機を効果的に伝える方法がわかります。
面接で志望動機を聞く理由

面接官の視点から見ると、志望動機を尋ねることは応募者について以下の点を知るために重要です。
- 本気度や熱意
- キャリアプランと企業の方向性の合致度
- 価値観や仕事に対する姿勢
- 企業理解度
- 業務適性や能力
- 他の候補者との差別化ポイント
志望動機の確認により、応募者がどれだけ企業に対して興味を持ち、真剣に働きたいと考えているかが見極められます。長期的に働ける可能性が高いか、企業の文化やチームに合う人材かどうかも見極める必要があります。応募者が即戦力になり得るか総合的に評価されるため、志望動機はとても重要な要素です。
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面接で伝える志望動機の考え方

面接で伝える志望動機を考える際は、以下のステップを実践するのがおすすめです。
- 自己分析を通じて自分の価値観を明確にする
- 企業研究を深める
- 応募企業の強みと自分の価値観を結びつける
自己分析を通じて自分の価値観を明確にする
自己分析を通じて自分の価値観を明確にすることは、自分がどのような場面で力を発揮できるかを理解する助けになります。自己分析として、以下の点を具体的に検討しましょう。
- 自分の強みと弱み
- 過去の経験や実績
- 好きなことや興味のある分野
- 自分にとって重要な価値観や信念
- 他人からのフィードバック
過去の経験や実績は、プロジェクトでリーダーシップを発揮して成功した経験など、具体的な例を挙げてください。経験の振り返りは自分の強みや価値観を形成した背景を知る助けになります。自己分析ツールやワークシートを活用すると、自己分析をより効率的に進められます。
企業研究を深める

企業研究は面接対策の基盤となる重要な過程です。企業研究として、企業の公式ウェブサイトからビジョンや価値観を理解しましょう。企業研究を深める際は、以下の点を調査対象にできます。
調査対象 | 得られる情報 |
サービスや製品、過去のプロジェクト | これまでの成果 |
最新ニュース、プレスリリース | 現在の状況、業界内での立ち位置 |
業界全体の動向、競合他社 | 企業独自の強みや弱み |
口コミサイト、社員の声 | 職場環境や社風 |
採用ページ | 求める人物像やスキルセット |
SNSやLinkedInの公式アカウント、社員のアカウント | 最新情報や企業文化 |
企業への理解を深めることで、面接時には具体的な質問や意見が述べやすくなり、面接官に良い印象を与えられます。
応募企業の強みと自分の価値観を結びつける
応募企業の強みと自分の価値観を結びつけることは、面接での志望動機を強化するために重要です。具体的な例として、以下の内容が挙げられます。
応募企業の強み | アプローチできるポイント |
ミッションやビジョン | 企業で働くことが自分の人生の目標にどのように役立つか |
製品やサービス | 実際に使用した経験、製品がどれほど自分の生活を変えたか |
成長性や市場でのポジション | 企業の成長に自分がどのように貢献できるか |
社会貢献活動 | 自分のライフスタイルや価値観とどのように調和しているか |
企業の成長性についてリサーチする際には、公式の年次報告書や業界の分析レポートから確認可能です。具体的なアプローチをすることで、企業に応募者の真剣度や情熱を伝えられます。共通する価値観について触れるなら、企業また個人としての社会的責任を重視していることも印象付けられます。
» 面接対策の基本を解説
面接での志望動機の伝え方

面接では志望動機の内容だけでなく、伝え方もとても重要です。伝え方のポイントとして、以下の3点を解説します。
- 結論から先に述べる
- ロジカルに根拠を示す
- 自然な話し方と表情を心掛ける
結論から先に述べる
面接では、面接官が求める情報を的確に伝えるためにまず結論から先に述べることが大切です。具体的な例として、以下のように伝えられます。「私は御社の○○事業に魅力を感じ、応募しました。自分のこれまでの経験を活かして御社に貢献できると考えています。」
面接の冒頭で志望動機を簡潔に伝えるなら、面接官の興味を引きつけられます。面接の限られた時間を効率的に使うためには、明確かつ説得力のある言葉で志望動機を述べることが大切です。
ロジカルに根拠を示す

志望動機の根拠をロジカルに示すと説得力が増し、面接官に意図や熱意が伝わりやすくなります。データや事実を用いて具体的な証拠を示すことが有効です。企業の状況をよく理解していることをアピールするために、以下の点を示せます。
- 企業の業績
- 市場シェア
- 業界の成長率
自己アピールについても、以下の点をロジカルに説明することが大切です。
- 過去の職務でどのような成果を挙げたか
- 過去の経験を応募企業でどのように生かせるか
- 応募企業の掲げるビジョンに対してどう貢献できるか
経験や実績を具体的なエピソードで説明すれば、説得力が増します。具体例として以下のように伝えると効果的です。「前職でのプロジェクト管理で20%の効率化を達成した経験があります。御社のプロジェクトでも貢献可能です。」
データや事実を用いて志望動機をロジカルに伝えれば、語る内容について一貫した論点を持っていることや信頼性を示せます。
自然な話し方と表情を心掛ける
志望動機が自分の本音であることを伝えるためには、自然な話し方と表情が大切です。話し方や表情のポイントは以下のとおりです。
- アイコンタクト
- 適度な笑顔
- 自然なジェスチャー
- 適切なトーンとペース
- 明瞭な発音
アイコンタクトを保つことで、相手に対する信頼感や誠実さを示せます。適度に笑顔を見せると、相手に安心感と良い印象を与え、話しやすい雰囲気を作り出せます。話の内容をよりわかりやすく伝えるためには自然なジェスチャーが有効です。
適度なスピードで話すように心掛け、早口すぎたり遅すぎたりして聞き取りにくくならないよう、注意しましょう。明瞭に話すことで、自分の主張をしっかりと伝えることも大切です。
» 面接の練習方法を解説
面接で志望動機を伝える際の注意点

面接で志望動機を伝える際は、面接官に悪い印象を与えないよう注意する必要があります。以下の3つの注意点を解説します。
- 前職への不満は避ける
- 給与や福利厚生ばかりを強調しない
- 一貫性のある内容を心掛ける
前職への不満は避ける
前職への不満を強調すると、面接官にネガティブな印象を与える可能性が高いため注意しましょう。転職理由を聞かれた場合でも、前職の悪口を言うことは信頼性を損なう結果になります。
転職理由としては、新しい職場に対する具体的な目標や期待を述べましょう。自分のスキルや経験を活かせる点をアピールするのも、良い印象を与えるために効果的です。
給与や福利厚生ばかりを強調しない

給与や福利厚生ばかりを強調する志望動機は、面接官にとって魅力がありません。企業は自社への熱意や興味を持つ人材を求めています。企業に役立つ人材であることをアピールするために、自分の成長やキャリアパスに合致する点を強調することが大切です。
企業への本気度をアピールするために、以下のように伝えましょう。「御社で働くことで、私のスキルや知識をさらに成長させられると感じています。」
仕事内容や職場環境についての興味を示すことも効果的です。「御社のプロジェクトに参加できることは、自分にとって大きなチャレンジであり、やりがいを感じます。」と伝えられます。
給与や福利厚生に触れる場合でも、補足的に触れる程度に留めるのがおすすめです。「給与や福利厚生も魅力的ですが、私にとって最も重要なのは、御社でのキャリア成長の機会です。」と言えます。バランスの取れた表現を用いると好印象を与えられます。
一貫性のある内容を心掛ける
一貫性のある内容により、面接官に信頼性を感じさせることは重要です。具体的には、以下の点に注意しましょう。
- 事実に基づく具体的なエピソードを入れる
- 前職や他社の経験を関連付ける
- 志望する企業に特化した内容にする
前職での成功体験や学んだスキルを現在応募している企業でどのように活かすかを説明することで、一貫性を持たせられます。企業の特徴や価値観に自分の経験やスキルを結びつけることも効果的です。内容は志望企業に特化したものにすることで、さらに説得力が増します。
» 面接の流れを解説
【シチュエーション別】志望動機の例文

以下の4つのシチュエーション別に、志望動機の例文を紹介します。
- 同業界・同職種への転職の場合
- 同業界・異職種への転職の場合
- 異業界・同職種への転職の場合
- 異業界・異職種への転職の場合
同業界・同職種への転職の場合
同業界・同職種への転職の場合、業界特有の知識やスキルを持っていることをアピールしましょう。同業界での経験は即戦力として評価されます。前職での実績や成果を具体的に伝えることで、自分の能力と実績を効果的に示せます。
同業界でのプロジェクト管理経験がある場合、プロジェクトを成功に導いた具体的な事例や数値を用いて説明してください。競合他社での経験も実績として示せます。業界内での知識の深さと業務への迅速な適応力は、効果的なアピールポイントです。転職理由をポジティブに表現することも大切です。
自分がこれまで培ってきたスキルや経験を活かし、新たなチャレンジを求めていると伝えましょう。志望企業のビジョンやカルチャーに共感していることを示すのも良いアピール方法です。具体的な例として、以下のように伝えられます。
「現職で得たスキルと経験を活かし、御社でさらに成長したいです。御社は、業界の中でも特に革新的な技術やサービスを提供している点が魅力的です。前職ではリーダーシップを発揮し、プロジェクトを成功に導いた経験があります。培ったスキルを御社の新しいプロジェクトで活かし、貢献できると確信しています。」
同業界・異職種への転職の場合
同業界で異職種への転職を考える場合、業界内での経験があるため、動向やトレンドに精通している点が強みです。新しい役割でも迅速に適応し、貢献しやすい点をアピールできます。営業からマーケティングへの転職を考えている場合、営業で得た顧客のニーズや市場の理解をマーケティング戦略に活用できます。
新たな職種でキャリアアップを目指す場合、異なる視点からの新たな挑戦に意欲的であることが重要です。具体例としては、以下のように志望動機を伝えられます。
「私は業界内での知識を活かし、新たな職種に挑戦したいと考えています。現職で培った業界の深い知識と経験が、御社の異なる職種でも役立つと感じました。現職では営業として業界の動向や顧客ニーズを理解してきました。培った知識を活かし、マーケティング職で業務を改善し、貢献したいと考えています。」
異業界・同職種への転職の場合

異業界・同職種への転職の場合、自分のスキルが即戦力として活かせることをアピールしましょう。異業界であっても、同じ職種で培ったスキルや経験は役立ちます。マーケティングのスキルを持っている場合、異業界の市場動向やトレンド分析に役立てる方法を具体的に説明すると効果的です。
異業界への転職では、柔軟性と適応能力も強調できるポイントです。以前の職場でどのような課題を解決し、適応してきたかを具体例を通じて説明してください。異なる業界でも迅速に適応し、成果を上げられることを伝えましょう。異業界の知識や経験を活かして新たな視点を提供できる点も強調すると良いです。
自分の実績や成果を具体的に説明し、新しい環境でも再現可能であることを示してください。年間売上を大幅にアップさせた経験がある場合、方法を詳細に説明し、同様の成功が異業界でも実現できることを伝えます。応募企業の業界に対する興味や関心を強調することも忘れないでください。
異業界への転職は新しい挑戦であり、意欲を前向きに表現すれば、面接官に好印象を与えられます。伝え方の具体的な例は以下のとおりです。
「私は前職での経験を異業界でも活かし、貢献できると確信しています。異業界の新しい視点を取り入れ、革新的なアイデアを提案したいです。前職でのプロジェクトマネジメント経験をもとに、異業界である御社のプロジェクトでも成功を収めたいと考えています。職種の専門性をさらに深め、御社に貢献したいです。」
異業界・異職種への転職の場合
異業界・異職種への転職では、異業界に興味を持ったきっかけを明確に伝えることがポイントです。特定のプロジェクトや個人的な経験を通じて新しい業界に魅力を感じたことを語りましょう。
現職で培ったスキルや経験が新しい職種でどう活かせるかを具体的に説明してください。プロジェクト管理のスキルや顧客対応の経験などは新しい職場で役立つ強みとしてアピールできます。
新しい業界や職種に対する学習、資格取得の努力をアピールし、熱意と行動力を伝えることも効果的です。挑戦する業界や職種の将来性や魅力について自分なりの視点で語ることも重要です。業界の成長性や社会的意義などに触れ、自分がその業界でどのように貢献できるかを話しましょう。
自分の価値観やキャリアビジョンと新しい職場の文化やビジョンが一致している点も強調できます。転職理由はポジティブに説明し、成長意欲を示してください。「新しいチャレンジを通じて自己成長を図りたいです。」といった前向きな理由は好印象を与えます。具体的な例として、以下のように伝えられます。
「新しい環境で自分を試し、スキルの幅を広げたいです。異業界・異職種の両方でのチャレンジを通じて、成長し続けたいです。前職では営業職で顧客対応のスキルを磨きました。前職での経験を活かし、御社の新しい職種で多様な経験を積み、企業の新たな価値創造に貢献したいと考えています。」
面接の志望動機に関する質問と回答例

面接の志望動機に関する質問と回答例として、以下の3つを紹介します。
- あなたが転職先を選ぶ基準は何でしょうか?
- 他に受けている業界・企業はありますか?
- 当社のサービスや商品について知っていましたか?
- 業界の今後についてどうお考えですか?
あなたが転職先を選ぶ基準は何でしょうか?
多くの人が転職先を選ぶ基準は、以下のとおりです。
- 仕事内容の魅力とやりがい
- 給与や福利厚生の充実度
- 企業の安定性や成長性
- 職場環境や人間関係
- キャリアアップの機会や研修制度
- 企業の理念やビジョン
- 勤務地や通勤のしやすさ
- ワークライフバランスの確保
- 企業の社会的評価やブランド力
- 企業文化や社風
具体的な回答例として、以下のように伝えられます。
「転職先を選ぶ基準は企業の成長性と自分のキャリアゴールに合致するかどうかです。長期的なキャリア形成を考えた時、成長性のある企業で働くことで自分も成長できるからです。
現在の職場では新しい技術の導入に積極的な姿勢がなく、自分のスキルアップが難しいと感じています。御社は最新の技術を積極的に取り入れており、自分のキャリアゴールに合致していると感じました。」
他に受けている業界・企業はありますか?
他に受けている業界や企業があるかについては、正直に答えることがポイントです。面接官は応募者がどのような視点で企業を選んでいるかを知りたいと思っています。具体的に受けている業界を伝えると、自分の興味やスキルセットが幅広いことをアピールできます。
他社名を具体的に言う必要はありません。応募者の適性を理解するための情報として、業界や職種の傾向を知らせれば回答として十分です。具体的には、以下のように伝えられます。
「はい、他に受けている業界や企業もあります。同じIT業界で数社受けていますが、特に御社の新技術開発に力を入れている点が魅力的です。御社のプロジェクトに参加することで、自分の技術力をさらに高められると考えています。」
当社のサービスや商品について知っていましたか?

企業研究で情報収集した応募企業のサービスや商品の魅力的な点を率直に伝えましょう。具体的には、以下の点に注目できます。
- 業界内でのシェア率
- 最新技術の採用
- ユーザーのニーズに寄り添うサービス
- エコフレンドリーな取り組み
- アフターサービスやサポート体制
伝え方としては、以下のように言えます。
「はい、事前に貴社のサービスや商品について調査していました。御社の提供するクラウドサービスは業界内で高い評価を受けており、セキュリティ対策に優れている点が印象的でした。」
業界の今後についてどうお考えですか?
業界の今後について、回答に使える題材の例には以下が挙げられます。
- 技術革新とグローバル市場の競争
- ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み
- デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
- 人材不足とスキルギャップ
それぞれの題材を取り上げる際は、具体的な施策も述べると効果的です。以下のように伝えられます。
「業界の今後については競争が激化すると考えています。技術の進化とともに新しいプレイヤーが次々と参入してくることが原因です。
AI技術の進化により多くの企業が自動化を導入し始めており、競争が一層激しくなると予測しています。御社のように技術革新に積極的な企業は、今後も業界内で重要なポジションを占めることができると考えます。」
まとめ

面接で志望動機をうまく伝えるためには、自己分析と企業研究が不可欠です。自己分析を通じて自分の価値観や強みを明確にし、応募企業の強みと結びつけると効果的なアピールができます。
面接では結論を先に述べ、根拠をロジカルに示すことで信頼性を示しましょう。自然な話し方と表情を心掛けることも重要です。前職への不満や給与・福利厚生ばかりを強調しないことも大切です。しっかりと準備すれば志望動機を効果的に伝えられ、希望どおりの転職を進めやすくなります。